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東京高等裁判所 昭和34年(く)101号 決定

少年 R(昭一八・一一・一五生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の理由は、T提出の抗告申立書記載のとおりであるから、これをここに引用し、これに対し次のとおり判断する。所論に鑑み本件記録及び添附記録を精査すると、原決定記載の罪となるべき事実は優にこれを認めることができると共に、少年は犯行当時一六歳に満たない少年ではあつたが、既に昭和三三年七月二一日恐喝未遂、傷害、窃盗罪により東京家庭裁判所において保護観察に付する決定を受けた者であり、その後、更に非行を重ねたけれども保護観察中のため不処分となつた。しかるに少年は一向に反省するところなく、両親の許に居つかず、保護司とも連絡をとらず、不良の徒輩と徒党をなして本件窃盗の犯行を重ねるに至つた者であつて、その犯行も極めて大胆、且つ、大がかりであること、少年の家庭は父が病身で生活も困窮しており、その環境も悪しく、このまま少年を家庭において指導監督することは到底望み難い状況であることが窺われる。その他諸般の事情を考慮すると、所論の総べてを参酌するも、少年に対してはこの際中等少年院において規律ある生活と勤労精神とを体得させ、将来健全なる社会生活を営み得るよう矯正教育をする必要があるものと認めるので、原決定にはいささかも不当の廉は存しない。

よつて少年法第三三条第一項に則り、主文のとおり決定する。

(裁判長判事 山本謹吾 判事 渡辺好人 判事 目黒太郎)

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